住宅の屋根は、雨や紫外線など外的な刺激から常に建物を守っていることから、最も劣化しやすい部分であることは、いうまでもありません。

そのため、劣化の状況に応じて、適切にリフォームをすることが重要です。

現在、屋根材の主流はスレート瓦であり、おもなリフォームの方法となるのは大きく「塗装」「カバー工法(重ね葺き)」「葺き替え」の3種類となります。

なかでも「塗装」は非常に多く行われているなど、スレート瓦のリフォームとして定番ともいえる方法です。

そこで今回は、屋根リフォームで最も行われる「塗装」について、その目的や注意点を深掘りしてみたいと思います。

【屋根リフォーム】屋根塗装の目的とは?

屋根リフォームにおいて、塗装を行うおもな目的について簡単に解説いたします。

その目的とは、以下の通り大きく3つ挙げられます。

・美観の再生

・建物の保護

・資産価値の維持

●美観の再生

屋根塗装の一つめの目的は、美観を再生することです。

屋根材が劣化すると、色あせや塗膜の剥がれ、そしてカビやコケの繁殖などの症状が現れ、見た目にも古ぼけた印象を与えるようになります。

しかし、劣化した屋根に塗装を施すと、以前の美しい外観へと再生できます。

また、まったく別の色を使って塗装できることから、これまでとは違ったイメージをつくれる点も魅力といえるでしょう。

●建物の保護

屋根塗装の二つめの目的は、建物を保護することです。

屋根材は、劣化が進行すると、重要な機能である防水性が徐々に損なわれるようになります。

そうなると、雨水の侵入を許してしまい、その下地へと影響が及ぶことがあります。

さらに建物内部にまで症状が進行すると、雨漏りや木材の腐れが生じてしまう恐れがあることは深刻なリスクです。

そのようなリスクを回避するためにも、劣化の症状が比較的軽い段階で塗装することが重要になります。

そうすることで屋根の防水性を回復させ、劣化の影響から建物全体を保護することにつながるのです。

●資産価値の維持

屋根塗装の三つめの目的は、建物の資産価値を維持することです。

基本的に不動産の資産価値は、土地であれば路線価に影響を受け、また建物であれば築年数に影響を受けます。

しかし、近年では、住宅の性能が飛躍的に高まっており、さらに「住宅性能表示制度」によって住宅の持つ性能が誰にでも判断しやすくなっています。

そのため、「住宅性能」や「メンテナンス」などの要素が、資産価値に大きな影響を与えるモノサシのひとつとなっているのです。

メンテナンスには一定のコストがかかりますが、長期的な視点で資産価値を維持するには欠かせない要素となります。

とくに屋根のメンテナンス不足は、他の部位への影響が大きいことから、計画的に実施しておきたいものです。

【屋根リフォーム】屋根塗装の注意点とは?

屋根塗装を行うときには、いくつかの施工上の注意点があります。

屋根塗装の注意点のなかでも、とくに重要なことといえば以下の3つです。

・3回塗りを実施する

・縁切りを行う

・外部リフォームの同時施工を検討する

●3回塗りを実施する

屋根塗装は、最低でも「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りが基本です。

屋根に使用する塗料は、メーカーごとに期待できる耐久年数が設定されていますが、これは最低3回以上の塗装が行われ、適切な厚さが確保できていることが前提となります。

また、それぞれの塗り工程が完了すると、十分な乾燥時間を設けなければなりません。

よって、3回塗りが行われない業者や、短い工期で済ませるような業者などは、注意が必要となります。

●縁切りを行う

スレート瓦材は、表面に溝があり、雨水が屋根材の裏側に入り込んでも、その溝から排出される構造となっています。

ところが、塗装の影響で屋根材どうしの重なり部分の隙間が塞がれてしまうと、雨水の排出を阻害し、雨漏りなど不具合の原因となることがあるのです。

このような不具合を防ぐには、屋根材の重なり部分の縁切りを行い、適正な隙間の確保が必要となります。

以前は、工具などを使って塗装後に切り離しの作業を行っていましたが、現在は「タスペーサー」という部材を使った方法が一般的となっています。

これは、あらかじめ「タスペーサー」を挿入しておくことにより、重なり部分が塗装で塞がらないようにする方法です。

よって、縁切りが適切に行われない業者には、注意が必要となります。

●外部リフォームの同時施工を検討する

屋根塗装は、足場の設置が必要となるため、どうしても高額になりやすい工事です。

しかし、足場の設置が必要となる外部リフォームを同時に行えば、足場設置の回数が減ってコストダウンを図れます。

屋根塗装以外の外部リフォームとは、外壁工事や雨樋などの付帯工事ですが、これらも屋根と同様に劣化状況に応じたリフォームが必要です。

そのため、塗料の耐久年数が合うようにあらかじめ調整しておくことで、同じタイミングでリフォームを行うことが可能となります。

よって、外部工事を一元的に管理できる業者を選び、長期的な視点から任せるとよいでしょう。

まとめ

屋根リフォームのなかでも塗装は、低コスト、かつ短工期で行えることから、最も取り組みやすい工事となります。

しかし、いくつかの注意点があるため、業者選びには十分に配慮しなくてはなりません。

また、大事なマイホームを長く維持するためにも、適切なタイミングで行うことをおすすめいたします。