近年、家を新築するときやリフォームするときに、自然素材を選ぶ方が増えています。床には無垢フローリングを、そして壁には珪藻土（けいそうど）や漆喰（しっくい）を使って塗り壁にするのが人気です。
しかし珪藻土と漆喰の違いがわからず、どちらを選ぶかで迷っている人も多いのではないでしょうか？
そこで今回は、珪藻土と漆喰の違いやメリット・デメリット、選び方まで解説します。
珪藻土と漆喰の違い
まずは、珪藻土と漆喰の違いを確認しておきましょう。
珪藻土は藻の化石
珪藻土は、水辺に住む「珪藻」と呼ばれる藻（も）の死骸が、海や湖などの底に蓄積され、長い年月をかけて化石化したものを指します。採掘後に高温で熱し、細かな粉状にしたものが、壁材である珪藻土の主原料です。
漆喰は貝の化石
漆喰は、石灰質の貝殻を持つ海辺の生物の死骸が、海底に蓄積されて化石化した石灰石です。高温で燃焼して作られた消石灰（しょうせっかい=水酸化カルシウム）が壁材である漆喰の主原料です。
珪藻土と漆喰のメリット・デメリット
ここからは、珪藻土と漆喰のメリット・デメリットを順番に紹介します。
珪藻土のメリット・デメリット
珪藻土のメリットは、調湿性や消臭性が高いことです。珪藻土のもととなる珪藻には、目に見えないたくさんの細かい穴が空いており、空気中の湿度に合わせて水分を吸ったり排出したりします。その際、空気中に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着・分解する効果があります。
一方珪藻土は、表面にヒビが入りやすく、こすると摩擦によって粒子が落ちてしまいやすいのがデメリットです。また、珪藻土は単体では固まらないため、凝固剤を混ぜる必要があります。凝固剤に合成樹脂を使用すると、自然素材としての珪藻土のメリットを大きく損なうため注意が必要です。
漆喰のメリット・デメリット
漆喰のメリットは、珪藻土と同様に、多孔質の物質であるため調湿性や消臭性に優れていることです。さらに防カビ・抗菌性も有しています。また珪藻土と違い、単体でも互いにくっつく性質があるので表面がボロボロすることがありません。
ただし漆喰の調湿性は、珪藻土ほど高くなく、防カビ・抗菌性も5年ほどでなくなると言われています。また漆喰は下塗りが必要になるため、珪藻土よりも施工費が高額になるのがデメリットです。
珪藻土と漆喰の選び方
珪藻土と漆喰を選ぶときには、以下の５つのポイントから優先度を考えて選ぶのがおすすめです。
・色
・仕上がり
・調湿性能
・メンテナンス性
・費用
それぞれ解説します。
珪藻土と漆喰の色の違い
漆喰の基本色は乳白色で、漆喰自体に色をつけることはできません。漆喰に着色する場合は、色つけ用の顔料を混ぜる必要があります。
しかしムラなく色づけするのは高度であり、どうしても色むらが発生しやすくなります。そのため基本的に漆喰は、そのままの色で塗るのがもっとも美しく仕上がります。
一方珪藻土は、漆喰ほど着色が難しくなく、いろいろなカラーバリエーションから選べます。
珪藻土と漆喰の仕上がりの違い
珪藻土と漆喰は、仕上がりにも違いがあります。珪藻土はどれだけ表面をならしても、土壁独特のザラザラした仕上がりになるのが特徴です。
一方漆喰は、コテで丁寧に押さえるとつるりと仕上がり、触感もサラサラしています。どちらもコテで模様をつけられますが、珪藻土のほうが荒い男性的な仕上がりに、漆喰はやや上品に収まります。
珪藻土と漆喰の調湿性能の違い
珪藻土と漆喰はどちらも調湿性がありますが、珪藻土のほうがより高いのが特徴です。調湿性能で選ぶのであれば、珪藻土が良いでしょう。
メンテナンス性の違い
珪藻土も漆喰も、ひび割れしやすいのは同じです。どちらも重ね塗りができるので、修復の難易度は変わりません。ただ珪藻土は粒子同士が結着しないので、強くこすると粉が落ちてしまいます。洋服をかけると粉がついてしまうこともある点には注意が必要です。
珪藻土と漆喰の価格の違い
珪藻土と漆喰は、製品によって価格にバラツキがあり、一概にどちらが高いとはいえません。
ただ、施工費まで含めると、漆喰のほうが高くなります。それは、珪藻土は一度塗りだけで仕上げられるのに対し、漆喰は塗ったあとのヒビ割れを防ぐために、下塗りと仕上げ塗りの少なくとも2回以上の施工が必要になるためです。
施工費を抑えたい場合には、珪藻土を選ぶと良いでしょう。
まとめ
珪藻土と漆喰は、どちらも自然素材ですが、それぞれ特徴が異なります。仕上がりの質感や予算により、好みのものを選ぶと良いでしょう。
なお、塗り壁は、職人の腕によって仕上がりが異なります。ランダムに塗るのであればDIYでもそれなりに仕上がりますが、漆喰を平らに塗る、コテや刷毛で独特の模様をつけるといった仕上がりにするなら、プロの職人のいる工務店に依頼するのがおすすめです。
祢冝田建設では、無垢材や珪藻土などの自然素材を使った家づくりやリフォームも数多く手がけていますので、お気軽にお問い合わせください。
