高齢になった時や足腰が弱ってきた時に手すりがあると便利そうだ、とか介護が必要な家族が生活しやすいように手すりの取り付けリフォームを考えている、という方が増えています。実際に手すりを設けたことで、転倒事故を防ぎ、自宅で安全に快適な暮らしが出来るようになったという方も多くいらっしゃいます。しかし、手すりを設置したものの意外と使わなかったり、それどころか邪魔になったりする場合もあり、納得がいくリフォームにするためには注意が必要です。

安全で安心な手すりの取付けリフォームを、確実にスムーズに行うためにはどんな点に注意すれば良いのか、ポイントをご紹介したいと思います。

1.手すり取付けリフォームを納得のいくものにするには?

快適な暮らしを実現させるための手すりであっても、安全に取り付けなければ意味がありません。使いやすい手すりにするための注意点やお得に賢いリフォームを行うためのポイントをご紹介したいと思います。

■安全に取り付けなければ意味がない!?

手すり本体は、ネットやホームセンターでも売っているので、自分でも取り付けぐらいなら出来るのではないかと思われるかもしれません。しかし、手すりは体重をかけ、体を支えるものなので、手すりを取り付ける壁には、柱がある部分か、下地が入っている部分でなければビスが利かず、すぐに外れてしまう危険があります。安全に使える手すりでなければ、むしろケガの原因にもなってしまい取り付けても意味がありません。

どこに柱や下地が入っているのか、取り付け位置が合っているのかを確認するためにも、DIYで手すりを取り付けるよりも、リフォームのプロに依頼する方が安心です。

■補助金を利用してお得にリフォーム

手すりの設置を考えているのであれば、補助金や助成金を活用することで、少ない負担でリフォームすることが可能です。

例えば、要介護や要支援の認定を受けている方であれば、自立しやすい生活環境を整える目的で行う小規模な住宅改修工事(バリアフリーリフォームなど)に対して、介護保険を使うことで工事費用の9割(上限20万円)が支給されます。手すりの設置リフォームも住宅改修の内容に当てはまります。ただし、手すりを設置する目的や手すりの種類に条件があるので、申請の理由書を作成するケアマネジャーや福祉住環境コーディネーター、工事を依頼する会社などに確認しておきましょう。

さらに、地方自治体によっては独自で減税制度を設けていたり、給付金を設けていたりする場合もあるので、制度を利用してお得にリフォームしましょう。

2.使えない手すり・使わなくなる手すりを設置しないために!

家族のことを思って手すりを取り付けたのに使ってくれなかったり、必要を感じて設置したのにいつの間にか使えなくなったりしたというお宅もあります。使えない手すり、使わなくなる手すりを設置しないために、どんなことに注意すると良いのでしょうか?リフォームのポイントをご紹介したいと思います。

■プロの知識とアドバイスを取り入れる

手すりを設置したにも関わらず、いつも使っていたタンスや壁を変わらず利用して手すりは使わなかったり、手すりに腰や腕をぶつけるようになって逆に危険が増したりしたというケースがあります。これは、手すりを使う人の日ごろの動きや体力を把握しないまま設置したために起こりえる問題です。

そのため、手すりの種類や設置位置を決める際には、普段お世話になっているケアマネジャーやヘルパーさん、かかりつけのお医者さん、福祉住環境コーディネーターなど介護や医療のプロのアドバイスをもらうことが役に立ちます。段差の上り下りの際に普段どこに手を付いているのか、どの高さに設置すれば力が入れやすかったり、残存機能を最大限に活かせたりするのか、安全で安心できる位置を教えてもらいましょう。

また、住宅や建物に詳しいリフォームのプロに相談することも役に立ちます。手すりのリフォームを依頼する際には、どんな点が生活の問題になっていたり、不安だったりするのかを伝えることで、開き戸を引き戸にして部屋の入り口ギリギリまで手すりを使えるようにしたり、段差を解消することで手すりのみの設置よりも安全で誰にとっても動きやすい家に出来たりと、より快適な暮らしの提案をしてもらえます。

リフォームのプロに相談することで気づかなかった暮らしの問題の原因と解決策や建物自体の問題点もプロの目線でアドバイスしてもらえるので、確実で質の高いリフォームが実現出来ます。

■『今』と『これから』を念頭におく

安全に取り付けた手すりでも、徐々に使わなくなることがあります。その原因のひとつには、体力が衰えたり、病状が進行したりしたために手すりが使い辛くなることにあります。

高齢になった時に備えて、事前に設置する場合の手すりは、一般的な種類や位置で問題はありませんが、体力が落ちていくことや、進行する持病を抱えている場合には、今だけではなく、ある程度これからの事も想定して設置することで長く使いやすい手すりにすることが出来ます。

例えば、トイレには一般的に縦手すりが設置されますが、立ち座りの動作だけではなく、便座に座った時に態勢を維持しやすいようにするためには横手すりがあった方が便利です。両方の機能を備えたL型手すりを設置しておくことで、必要になった時に改めて工事をする手間がありません。また、車いすになった際に便器の真横に車いすを付けることが出来るように跳ね上げタイプの手すりを設置することも出来ます。

さらに、手すりを握る手の力が落ちてくることが予想される場合は、握りやすさに特化した丸棒の手すりよりも、肘を置いて体をスライドさせながら進める平らな面がある手すりを高い位置に設置する方が、体を支えながら安全に移動しやすいかもしれません。

今だけ、一時的にしか使えない手すりにならないように、医師にも相談しつつ手すりの種類や位置を検討したうえで設置しましょう。

3. まとめ

転倒を防ぎ安全な暮らしをするうえで手すりを設置することは役立ちます。しかし、確実に設置しておかなければ、危険なものになってしまうので注意が必要です。体重がかかるものなので、柱や下地が入っている場所に設置するためにDIYではなく、プロに依頼しましょう。また、使う人に合った種類の手すりを適切な位置に設置するために、さらに今だけではなくこれからも長く使える手すりにするために、介護や医療のプロ、建築のプロに相談することも重要です。

介護保険や補助金などを利用してお得に手すり取り付けリフォームを行い、安全で安心な快適な暮らしを手に入れましょう。