和室の無い家が増えているとはいえ、座敷スタイルの方がリックスできる方や、布団で寝ている方にとっては畳のスペースは欠かせない空間となっています。しかし、畳スペースが必要と思っている方でも、掛け軸や絵画、花や骨とう品などを飾る座敷飾りとして、日本建築の和室の象徴とも言える床の間に関しては必要を感じていない方は少なくありません。今では何も置いていない、物置化しているというお宅も多くあります。

そこで今回は、リフォームによって使われていない床の間スペースを有効的に活用する方法について、リフォームの注意点とともにご紹介したいと思います。

1.使っていない床の間の活用方法

使っていない床の間を実際にどのように活用することが出来るのでしょうか?リフォームによって床の間を有効活用できる、どんなスペースに生まれ変えることが出来るのかアイディアをご紹介したいと思います。

■床の間に扉を付けて活用する方法

一般的な6畳の和室の床の間には、半畳~1畳ほどのスペースが床の間になっています。そのため、扉を設けて収納としての活用が人気です。

開き戸や引き違い戸を付けて、床の間内に棚板を設ければ布団が入る押入れになります。また、一般的な洋室のクローゼットよりも奥行きがあるため、ハンガーパイプを段違いで前後に2本設置できる大容量のクローゼットにもなります。

さらに、1畳ほどのスペースがあればトイレを設置することも出来ます。和室を長く寝室として使ってきた方で、高齢になって寝室の近くにトイレが欲しい方や、介護のためにトイレを設けたいという方に、押入れを活用した押入れユニットトイレは人気です。しかし、押入れは収納スペースとしてフル活用されていることが多く、トイレにしてしまうと新たに収納スペースが必要となってしまいます。その点、オープンスぺースだった床の間であれば、充分なスペースを有効活用することが出来ます。ただし、排水管を通すことが出来ない場所もあるので、確認が必要です。

■床の間をオープンなままで活用する方法

床の間に扉などを設けずにオープンな状態で活用する方法もあります。例えば、カウンターを設けてワークスペースにしたり、可動棚を設置して書庫や収納棚として活用したりすることが出来ます。

下部に扉を設けて収納スペースにして、上部はデスクとして使う方法や、ベンチとして座れるようにしたり、マットレスを敷いて備え付けのベッドにしたりすることも出来ます。

床の間は、奥行きがあるので棚や家具を置いても部屋側に出っ張ることなく、部屋は今まで通り広く使えるというメリットがあります。

2.使っていない床の間をリフォームするうえでの問題点

使っていない床の間を活用するうえでメリットがある反面、リフォームの際には問題点もあります。どんな問題点があるかを確認したうえで対策を考えながらリフォームをしましょう。

■立派な床柱がリフォームしづらい

築年数が古く木造の日本建築によって作られた和室の多くは、床の間と押し入れや仏間の間に床柱と言われる大きな化粧柱が使われています。自然な木のカーブやボコボコとした形状がそのまま使われているため、床柱としては美しいものの、リフォームで壁や扉を直接付けるには撤去したり表面を加工したり、床柱が邪魔になってしまいます。

床柱を撤去する場合は、代わりになる柱を設置する必要があるかもしれません。また、床柱を隠すようにまわりを化粧材で仕上げる場合は、今の柱よりも太くなるため凹凸が出来る可能性があります。

床柱を残して床の間をオープンに使う場合も、和室らしさの象徴とも言えるデザインのため、洋風の雰囲気に浮いてしまったり、床柱が目立ってコーディネートしづらかったりする問題点もあるので、床柱を撤去するのか、活かしたうえでどのようにリフォームするのかを考える必要があります。

■扉の規格サイズと違う造り

床の間の上部には小壁を受け止める「落とし掛け」と言われる横木や、柱と柱を水平に繋ぐ「長押」と言われる部材があり、どちらも襖の上にある鴨居よりも高い位置にあります。そのため、一般的な規格サイズの扉を設置しようと思うと、上部に空間が出来てしまいます。床柱のサイズによっては、横幅も規格サイズの扉が使えない可能性があります。

床の間の造りに合わせた扉にするためには、規格外の扉を造作することも出来ますが扉代が高くなってしまうので、規格サイズの扉に合わせて壁を作る必要があります。床の間の造りを活かした造作扉にするのか、空間を活用して壁を作り規格サイズの扉にするのか、リフォームの方法を選択しましょう。

また、鴨居よりも高くオープンな空間である床の間は和室を広く見せる効果があります。床の間を扉やモノによって塞ぐことで、和室の見え方が変わってしまう可能性があるので、リフォームの際には、壁や床の色の組み合わせや照明などのコーディネートで圧迫感が出ないように意識しましょう。

3. まとめ

畳のスペースは使っていても床の間は使っていないお宅が増えています。使っていない床の間はリフォームによって扉を設け、押入れやクローゼット、トイレとして活用することが出来ます。また、オープンのままでカウンターや棚を設けてワークスペースや書庫、ベンチやベッドとして活用することも出来るかもしれません。しかし、日本建築ならではの立派な造りゆえに、床柱が邪魔になったり規格サイズの扉が設置出来なかったりする問題があります。リフォームの際には、何をどこまで造作するかを考えて有効活用しましょう。

使っていない床の間でも、リフォームによって便利に使える空間にすることが可能です。暮らしやすい家にするための活用方法を考えてみましょう!