住宅の屋根リフォームは、大きく「塗装」「カバー工法(重ね葺き)」「葺き替え」の3種類ですが、これらのうち、最初に検討するのは「塗装」になります。
というのも、屋根材が傷むのは、まず表面に施してある「塗装」であり、この部分を適切にリフォームすることで長寿命化を図れるためです。
そして、屋根を適切にリフォームするには、タイミングを見きわめて、確実に実施していくことが重要なポイントとなります。
そこで今回は、屋根リフォームのひとつである「塗装」に適したタイミングの目安について詳しく解説したいと思います。

<屋根塗装工事に適したタイミングの目安とは?>

屋根塗装工事に最も適しているのは、塗装の劣化の影響がその他へ及ぶ前のタイミングです。
現在、住宅に使われる屋根材の主流は「コロニアル」や「カラーベスト」などのスレート瓦となっています。
これらは、表面に塗装が施されていますが、太陽光の紫外線や熱の影響を常に受け続けているため、建物のなかでも早期に劣化しやすい部分となります。
屋根塗装の劣化を放置すると、その影響を大きく広げ、建物にまで及ぶ可能性があるため注意が必要です。
そうなる前に塗装工事を実施することが、最適といえるタイミングになります。

●屋根塗装の劣化を放置するリスクについて

屋根塗装の役割は、意匠性を高めるだけではなく、建物にとって大敵である水から守る「防水性」という重要な機能を担っています。
塗装の劣化は、防水機能を損ねることにつながり、それを放置すると徐々に他の部位へと影響を広げていくことになります。
まずは屋根材そのものが吸水するようになり、さらに症状が進むと、下地を傷めたり、あるいは建物内まで及ぶと雨漏りを起こしたりすることも珍しくありません。
また、その過程で重要な構造部まで傷めることがあると、耐久性を損ね、建物寿命を縮める原因となることもあります。

●屋根塗装のサイクルの目安について

屋根塗装は、およそ10年を目安とするサイクルで実施すること一般的です。
しかし、塗料の種類によって耐久性が異なるため、高性能なものを選択すれば、より長いサイクルで設定することも可能となります。
屋根塗装に使用される塗料には多くの種類があります。
おもな種類と期待できる耐久性は以下の通りです。
・ウレタン塗料:8~10年
・シリコン塗料:10~15年
・フッ素塗料:15~20年
・無機塗料:20~25年

●屋根塗装工事を検討するべき劣化症状について

屋根塗装工事に最も適しているのは、塗装の劣化の影響がその他へ及ぶ前のタイミングとなります。
そして、そのタイミングは、劣化の症状を見きわめることで判断することが可能です。
屋根塗装工事を検討するべきおもな劣化症状について、以下に解説いたします。

・コケや藻の発生

屋根塗装が劣化すると屋根材そのものが吸水するようになりますが、そこにコケや藻の胞子が飛んできて付着すると、繁殖してしまうことがあります。
コケや藻は植物であるため、水分と光合成をするための適度な太陽光が必要です。
よって、劣化が進んで水分を含み、さらに適度な日照がある北側の屋根などは、コケや藻が生育しやすい環境になることがあります。
コケや藻が繁殖すると、その範囲を拡大させながら常に水分を含んだ状態が続くことから、劣化を加速させる原因となります。
屋根にコケや藻が確認できるようなら、できるだけ早めに塗装を検討する必要があるでしょう。
なお、コケや藻は高圧洗浄で落とせますが、そのときに塗装も剥がれてしまうため、セットで検討する必要があります。

・塗膜の剥がれ

屋根塗装が劣化すると、まず色褪せのような軽い症状が見られますが、この段階では緊急的に塗装をする必要はありません。
しかし、塗膜が剥がれている状態は、すでに防水機能を失っている可能性があります。
防水機能を失っているということは、雨水を侵入させる恐れがあり、建物へのダメージが懸念される状態と判断できます。
屋根材の塗膜の剥がれが確認できるようなら、早急に塗装を検討する必要があるでしょう。

・ひび割れや欠け

屋根材は、劣化が進行してひび割れを起こしたり、また外部からの衝撃により破損したりするケースがあります。
とくに、現在主流となっているスレート瓦は、非常に薄い材料であることから、その症状は顕著に見られます。
少量のひび割れであれば、コーキングを充填して雨水の侵入を防止できますが、経年によるものであれば、悪いものを部分的に交換し、屋根全体の塗装を検討する必要があるかもしれません。
また、屋根材のひび割れや欠けは、ダイレクトに雨水を侵入させる原因となるため、発生したらすぐに修理することが重要です。

<まとめ>

屋根リフォームは、建物の長寿命化を図るうえでポイントとなる工事です。
なかでも屋根塗装工事は、まず検討するものであり、10年が経過する頃を目安に計画しておくとよいでしょう。
また、屋根塗装工事は、比較的コストが安く、塗料も多くの種類のなかから好みのものを自由に選べます。
ただし、劣化が進行すると、塗装では対応できなくなるため、そのときは葺き替えなどを検討することになるでしょう。