住宅は、問題が発生してから事後的な修理を重ねるより、適切なタイミングでリフォームするほうが寿命を伸ばせます。ライフステージに応じて家を改修することで、住み心地や使いやすさもアップするでしょう。

とは言え、ほとんどの方が計画的にリフォームできていません。適切なタイミングを把握していないので、事後的な修理になったり資金の積立ができていなかったりして、後手に回るか実施できないでいるのです。

では、具体的にはどのようなタイミングでリフォームするのが適切なのでしょうか。―― 本稿では、リフォームしていただくのに適したタイミングをご紹介します。リフォームの時期を把握しておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

リフォームするタイミングはいつが最適?

さっそく、リフォームをするタイミングの目安を3つご紹介します。

  • 必要に迫られたとき実施(事後保全)
  • 時期を定めて実施(予防保全)
  • ライフステージに応じて実施

それぞれ、詳しく解説していきます。

必要に迫られたとき実施(事後保全)

まずご紹介するのは、不具合を見つけたときに都度おこなう事後的な修繕リフォームです。完全になくすことは難しいのですが、できれば避けたいタイプのリフォームです。

このタイプの修繕は、突発的に発生します。深刻なほど問題が進んでしまっているケースもありますので、予想外に費用がかかることもあります。

たとえば、室内の壁や天井に雨漏りの跡を発見した場合、床下・小屋裏 (天井裏)・壁の中などの見えにくいところでは、以下のような被害が進んでしまっていることがあります。

  • カビの発生
  • 腐朽菌の繁殖
  • シロアリの食害

ご存じのとおり、カビはアレルゲンであり健康に害を及ぼします。腐朽菌やシロアリは木造住宅の耐久性を著しく低下させ、倒壊につながります。事後的な修繕より定期的な点検をするほうがいいことは、想像に難くないでしょう。

なお、事後的な修繕では、しばらく不自由を強いられるケースもあります。たとえば、給湯器が壊れてから取り換える場合は、しばらくお湯が使えません。真冬に故障すると大変厄介です。

時期を定めて実施(予防保全)

つづいてご紹介するのは、大きな修繕が必要になる前に予防的におこなうリフォームです。

事後的な修繕を積み重ねるより、きっちり予防的なリフォームをするほうが、トータルの修繕費は下がる傾向があります。建物の長寿命化につながりますので、建て替え時期も遅らせられます。

予防的なリフォームは、以下のように目安となる周期があります。その周期をふまえて、積立等で資金を確保していただくとよいでしょう。

  • 排水管の高圧洗浄:1~5年周期
  • シロアリの防蟻処理:5年周期
  • ベランダの防水:10~15年周期
  • 外壁・屋根塗装:10~15年周期
  • 水回り設備の交換:10~20年周期

とくに、シロアリや雨漏りは異常が発生した場合の被害が大きくなります。未処理で放置した場合、異常の発生率も高くなります。ぜひ、時期を決めて予防的なリフォーム(防蟻処理、ベランダ防水、外壁・屋根塗装など)を実施していただきたいと思います。

「予防的なリフォーム」と先述の「事後的な修繕」との中間的な役割を果たすリフォームもあります。たとえば以下のような、何かがきっかけになり著しい性能不足を感じて、それを補うようなケースです。

  • 日本で大地震が起こり、不安になって耐震補強を実施
  • 光熱費の高騰で、窓を省エネ性が高いものに交換
  • 頻繁に段差でつまずくようになり、バリアフリー化を実施

このようなリフォームも事前に備えにくいですので、注意が必要です。しかし、人や家の健康に関わることですから、積立等で備えておきたいところです。

ライフステージに応じて実施

事後的な修繕や予防的なリフォーム以外にも、ライフステージに応じてリフォームを実施する場合があります。

新築・購入当初は何の問題もなかった家であっても、ライフステージの変化にともない使いづらいところが出てくるものです。現在の使い方に合わせてリフォームするほうが、住み心地がアップするでしょう。

【ライフステージ別】リフォームのポイント

つづいて、以下のライフステージ別にリフォームのポイントをご紹介します。

  • 子育て
  • 子どもの独立
  • 定年退職
  • 親と同居
  • シニアライフ

さっそく、順番に詳しく解説していきましょう。

子育て

統計によると、初めて住宅を取得する方は「30~40代の子育て世代」が多い傾向があります。該当する方は子育てに適した住宅を取得されているはずですので、子育て期に大きなリフォームが必要になることは少ないでしょう。

参考:国土交通省「住宅市場動向調査」

参考:住宅生産団体連合会「2021年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」報告

ご留意いただきたいのは、働き方の変化や環境の変化です。コロナ禍がよい例で、突然テレワークになり作業スペースが必要になった方や、玄関に手洗いや宅配ボックスを設置したくなった方が少なくないでしょう。

コロナ禍のようなケースでは、社会規範が一気に変わり、事後保全に近い突発的なリフォームが必要になります。事前に予定しておけませんので、日頃からリフォーム準備金を積立てておくと安心です。

ちなみに、国をあげて社会規範を変えていくようなケースでは、補助金制度を設ける場合があります。お住まいの自治体や、リフォーム業者にご確認ください。

参考:子どもみらい住宅支援事業

子育て期のリフォームを減らすには、10年程度先までしっかり見通して住宅を新築・購入することが大切です。

たとえば、子育て期は子どもの勉強場所が変わりやすい時期で、ダイニングテーブルなどの親の目が届く場所から、徐々に子ども部屋へと移っていく傾向があります。

一方、子ども部屋への引きこもりや学習時間の低下を避けるために、あえて子ども部屋を小さくして、家族共有のワークスペースを設けるご家庭もあります。親が子どもの勉強を見てあげることで、学習時間が伸び、学力によい影響を与えるそうです。

参考:経済産業研究所「テレビ・ゲームの制限より親の関与が重要」

あなたのご家族にはどちらのスタイルが適しているのか、新築・購入の際によく検討していただくことで余分なリフォームを避けられます。

子どもの独立

お子さまが独立されるころには、ご自宅に住み始めて10~20年程度経過している方が多いでしょう。家にとって築後10~20年は、故障や老朽化など、さまざまな問題が発生しやすい時期です。

耐震性の見直しや外壁・屋根の塗り替えなど、長く住み続けられるように予防保全も実施したい時期です。すぐでなくてもよいので、実施時期を検討しておきましょう。

また「子はかすがい」と言います。お子さまが巣立ったことで、ご夫婦の距離感も前向きな計り直しが必要になるかもしれません。ご夫婦であっても、適切な距離を保つことが円満につながるのではないでしょうか。

子ども部屋を転用して夫婦の寝室を分けるなど、お互いが相手のライフスタイルを尊重し、ゆるやかにつながる間取りに見直したいところです。「夫婦ふたりには広すぎる」と感じるなら、1階だけで生活できるようにするのもよいでしょう。

ちなみに、50代は「まとまった金額のローンが組めるタイムリミット」と心づもりしておくほうがよいでしょう。なぜなら、60代になると一般的に以下のことが起こるからです。

  • 所得が大幅に下がる
  • 健康上の問題が出てくる
  • 長期間の借入ができない

上述の事象は、融資を受ける際に不利になります。大規模リフォームをローンで実施する場合は、50代がひとつの区切りになるとお考えください。

定年退職

定年退職されると、退職金が入ります。まとまったお金が手元にあると、終の棲家を意識して一気に大がかりなリフォームをしようと計画しがちです。しかし、焦ってはいけません。

できれば、定年退職された機会に、以下のことを親御さまやお子さまとジックリ話し合われることをおすすめします。今後だれとどこに住むかによって、やるべきリフォームが大きく異なります。

  • 自分たちの親と同居する可能性はあるのか
  • 子どもたちと同居する可能性はあるのか
  • 売却して住み替えることはあり得るか

また、まだまだ若い60代で定年退職を迎えた場合、悠々自適のシニアライフを送るには少し早いでしょう。夫婦それぞれにやりたいことがあり、希望するリフォームの方向性が違うことも珍しくありません。

ご夫婦のあいだでも、しっかり話し合っておきましょう。

親と同居

老後は、若かったときには想像もしなかったことが起こります。たとえば厚生労働省や消防庁の調査を見ると、こんな事故が増えるようです。

  • 階段を下りるときに転落しそうになる
  • ちょっとした段差で転倒しそうになる
  • お風呂で溺れそうになる

さて、本当に有用なバリアフリー化は、壮年期では思いつきにくいものです。老年期に達する年齢になって初めて気づくことが少なくありません。親御さまと同居されることになったら、それを機にバリアフリーリフォームを検討されるとよいでしょう。

「次は自分たちの番」と考えながら、親御さまのために以下のことを検討してみてください。自分たちが親御さまの歳になったときにも、リフォームしたことが役立つでしょう。

  • 通路の幅はどのくらいが適当か
  • どこに手すりが必要なのか
  • どの段差が通行の妨げになるのか
  • 何の動作に介助が必要なのか
  • どのくらいの色や明るさの照明がいいか

なお、親御さまが既に支援や介護を必要としている場合は、補助金を使えるケースがあります。ご担当のケアマネジャーさんにご相談ください。

参考:介護保険における住宅改修

シニアライフ

同居していた親御さまがお亡くなりになり家族構成が変わったら、最後のリフォームを検討する時期です。まず考えたいのが「まだ夫婦で暮らすのか、それともお子さま世帯と一緒に暮らすのか」です。

夫婦ふたりで過ごされるなら、いずれ上の階は使いにくくなることを考慮して、1階だけで生活が完結できる住まいにリフォームされるとよいでしょう。もしくは、ホームエレベーターを設置する方法もあります。

見守りリフォームも、シニア夫婦に役立ちます。万が一、病気や家庭内事故で動けなくなったとき、すぐだれかに気づいてもらえるようにしておくのです。

たとえば、一部の給湯器は使用状況を遠隔でチェックできます。ホームセキュリティサービスの中には、不審者の侵入感知だけでなく、以下の対応してくれるものもあります。

  • 救急通報で駆けつけ
  • 火災を感知して駆けつけ
  • 一定時間動きがないと信号を受信

子世帯と同居される場合は「大規模リフォーム、解体して建て替え、売却して住み替え」などが選択肢になるでしょう。解体する場合はリフォーム不要で、売却する場合は早く高く売るためのリフォームが必要になります。

いずれにせよ、お子さま世帯とよく相談しながら、ご自宅をどうするのかご検討ください。

リフォームする時期に迷ったら、ご相談ください

事後的な修繕は、すぐにやらざるを得ません。一方、予防的なリフォームやライフステージに応じたリフォームを実施するときは、どこまで手を入れるか迷う方が少なくありません。

まだ十分使えそうなところをリフォームで新しくするのは、なんだかもったいない気がしますので、迷って当然です。判断に困ったときは、リフォーム業者にお声がけいただきアドバイスを求めるといいでしょう。

信頼できる業者とお付きあいがない場合は、複数社(できれば3社以上)にお声がけください。提案内容や見積金額を比較すると、どの業者が適正か見えてきます。

愛知県碧南市や近隣の市でお困りでしたら、弊社までお気軽にご相談ください。お話を伺い、現地調査のうえ必要なリフォームをご提案させていただきます。