リノベーションであれば、建て替えと違って家の柱や外壁、屋根を含めた構造はそのままに間取りを変えるような大きな工事を行うことが出来ます。しかし、家のベースが変わらないというメリットがある一方で、室内のことばかりを考えてリノベーションをした結果、完成後の外観を後悔する羽目になったという失敗談は少なくありません。マンションであれば、個人レベルで外観を扱うことが出来ないので心配要りませんが、戸建てのリノベーションの場合は、注意が必要です。

室内をメインとするリノベーションを行う際に、平面図からは外観がどうなるかという点までイメージできないという方は少なくありません。そこで、外観に影響する可能性がある、気をつけておきたい4つのポイントをご紹介したいと思います。

1.間取り変更で影響する外観の2つのポイント

間取り変更が伴うリノベーションの際に、外観に影響していることに気づかず、後悔を招いてしまったという失敗例で多い部分2つをご紹介したいと思います。

■窓の位置やバランスは外観のバランスに影響する!

部屋の採光や採風を意識して、また部屋の間取りに合わせて、窓のサイズを変えたり、位置を変えたり、新しく設置したりする工事は少なくありません。この場合、部屋の中にいる時を想定してプランニングするため、室内からの高さや見た目に合わせやすくなります。外壁のリフォームを行わない場合は特に、室内のプランが分かる平面図や室内パースがメインで、外壁が分かる立面図やパースを出されることもないため、外観でどこに窓が付くのかを、あえて確認することもないかもしれません。

しかし、完成して外から見てみると窓の高さがバラバラでモダンさに欠けたり、通行人の目線からは室内が見えすぎたり、など室内からのイメージと異なる場合があります。窓のサイズを揃えることや、縦や横のラインを揃えて窓を設置できないか、外観のバランスも考えてプランしましょう。

また、交換や新設の際には、部屋の雰囲気に合わせて窓枠の色を変えることもあります。その場合、ひと部屋では問題ないものの、家全体を見ると、既存の窓枠の色と違っていて、外観がちぐはぐな印象を与えることもあるので注意が必要です。室内の色合いを合わせることも重要ですが、外壁の同じ面の窓とのバランスも確認しておきましょう。

さらに、窓を小さくしたり無くしたりする場合は、壁になる部分が出来るので、新しい外壁だけ目立ってしまいます。出来るだけ目立たないようにしたいのであれば、外壁塗装のタイミングで窓をリノベーションする方が見栄えも良く、費用もお得に行えます。

■エアコンの移設・新設は室外機の存在を忘れずに!

間取りの変更や部屋のサイズに合わせてエアコンの位置を変えたり、新たに設置したりすることはよくあります。目立たないようにしたいとか、効率的に使えるようにしたいとか、エアコンを設置するうえでの、室内の希望はプランに反映するかもしれません。しかし、セットになっている室外機の位置までは意識していなかったために、外観の目立つところに室外機が設置されたり、陽が当たって効率の悪くなるような所だったりするという失敗例があります。

また2階に設けるエアコンの場合は、2階の窓やベランダに室外機を設置するのか、1階まで下して設置するために配管カバーが目立たないか、位置や色などを確認しておくことも重要です。1階に下す場合は、2階でのエアコンが1か所でも、1階に並ぶ室外機は他の部屋を含めた数台分になる可能性もあるので、数と配置スペースがあるかの確認もしておきましょう。

エアコンを移設したり、新設したりする際には、室外機の存在も忘れないようにして、外観の見栄えや効率のために、図面にも記載してもらって、実際に位置やサイズを確認しておくことは助けになります。

また、室外機と同じく、外に設置させることになる給湯器の設置場所も確認しておきましょう。家の正面にならないようにすることや、目立たないようにすることを意識出来ます。また、給湯器は比較的大きいので、窓への光を遮ってしまったり、通路を塞いだりしていないかの確認も必要です。

2.オシャレに変えることも出来る外観の2つのポイント

後悔を招く外観ポイントには、窓のアンバランスさや室外機が増えることなどプラスされる悪さだけではなく、せっかくオシャレになったにも関わらず、選択肢がなかったことの後悔もあります。ここでは、せっかく外観に影響するのであれば、こだわりたい2つのポイントをご紹介したいと思います。

■排気口・換気口をスタイリッシュに!

2003年以降に義務化された24時間換気システムが設置されている家や、義務化されていない中古住宅でも、高気密高断熱リフォームやシックハウス症候群対策のリフォームを行って24時間換気システムを導入する家の場合は、排気口のデザインにこだわってみましょう。

換気システムを導入していない家でも、トイレ、浴室、キッチンなどの換気口の設備デザインを検討することで、オシャレな外観を保つことが出来ます。室内だけではなく、外壁でも目立たずスリムなグッドデザイン賞を受賞しているメーカーもあり、スタイリッシュに仕上げることが出来ます。

■玄関ドアは家の顔

室内にも外観にも影響を与える玄関ドアは、家の顔とも言えるので、デザイン選びは重要です。部屋のテイストと外観のテイストが一緒であれば特に問題はありませんが、テイストが違うと、どちらに合わせるべきか、デザイン選びに苦戦するかもしれません。

その場合は、外観のデザインに合わせることがおススメです。玄関の室内側は居室と比べて比較的狭い空間で、靴箱や植物、装飾などで玄関ドアのデザインに合わせることが出来ます。玄関まわりだけクロスを変えたり玄関の土間タイルを合わせたり、空間を区切ってコーディネートすることも出来ます。

しかし、外観に関しては、外壁全体とのコーディネートになります。窓や外壁材など細かくコーディネートすることが出来ない部分なので、ドアのデザインが外観にマッチしていないと目立ってしまいます。外観を合わせる場合は、玄関まわりの壁、玄関ポーチ部分だけを変えることで、小規模でのコーディネートが出来ますが、その部分に関しても周りの外壁とのバランスを考えなければ、玄関周りだけ浮いたデザインになるかもしれません。

玄関ドアのリフォームや玄関周りのリノベーションの際には、外壁や外構リフォームとセットにする方が、デザイン性を考えやすいかもしれません。

3. まとめ

室内をメインにしたリノベーションでは、平面図や室内のプランを中心に打ち合わせをするために、外観に影響する部分に気づかず、リノベーション後に後悔をすることがあります。窓のサイズや位置を変えたり、新たに設置したりする際には、室内からの見た目だけではなく外から見て縦横のバランスが揃っているか、窓枠の色がバラバラになっていないかなどを確認しておくことが重要です。また、室外機や配管、給湯器の位置を確認することや、排気口や換気口デザイン、玄関ドアのデザインも外観に合わせてコーディネートすることでオシャレな外観を保つことが出来ます。

せっかく室内をリノベーションしてオシャレで心地良い空間を作るのであれば、外観も一緒にオシャレな家になるように意識しておきましょう。